コールセンター運営には数多くの専門知識が必要とされます。そこで、この記事では忙しい企業のご担当者様に向けて、コールセンター運営に求められる知識の中でも特に重要なポイントを解説します。約5分で読める内容となっていますので、ぜひ最後まで読んでください。
目次
1.オペレーション・マネジメントに関する知識
1-1.重要指標(KPI)
1-2.呼量予測と要員算出
1-3.業務プロセスの設計とPCDAサイクル
2.ヒューマン・リソース・マネジメントに関する知識
2-1.人材(SV・オペレーター)の採用育成
2-2.スキル管理
2-3.評価制度
3.ICTマネジメント
3-1.コールセンターシステム
3-2.デジタル活用やDX
まとめ
1.オペレーション・マネジメントに関する知識

1-1.重要指標(KPI)
コールセンターにおけるオペレーション・マネジメントとは、組織の戦略に基づいて経営資源を効率的に活用しながら目標達成を図るマネジメント手法のことを言います。つまり、コールセンター運営のゴールや目標を明確にし、それを達成するための戦略や運営体制を構築していくための知識が求められるのです。
目標の達成度合いを測るための指標は、「KPI」(Key Performance Indicator/重要業績評価指標)と呼ばれますが、コールセンター運営における代表的なKPIを下表にて紹介します。
尚、各指標にはそれぞれ計算方法があります。管理者は、その計算方法はもちろん、具体的にどのような顧客対応が、各KPIにどのような影響を及ぼすのかというレベルまで把握をしておく必要があります。
種別 | KPI | 内容 |
顧客満足度の指標 | 顧客満足度 | 商品・サービスなどに対する顧客の満足度合を測る指標 |
NPS | 企業・商品・サービスなどに対する顧客の推奨度合を測る指標 | |
応対品質の指標 | 応答率 | オペレーターが応答できた割合 |
放棄呼率 | オペレーターにつながる前に切れたコールの割合 | |
サービスレベル | 予め設定された時間内にオペレーターが応答できた割合 | |
平均通話時間(ATT) | 1件の通話にかかった平均通話時間 | |
平均後処理時間(ACW) | 1件の通話後にかかった平均ワーク(データ入力等)時間 | |
平均処理時間(AHT) | 1件の顧客対応にかかった総処理時間(ATT+ACW) | |
コスト・パー・コール(CPC) | 1件の電話に対する平均コスト | |
人材マネジメントの指標 | 欠勤率 | 勤務すべき日数に対して欠勤した日の割合 |
1-2.呼量予測と要員算出
「呼量予測(こりょうよそく)」とは、過去の実績データから、特定の日程や時間帯にどれくらいの入電があるかを予測することです。コールセンターでは、呼量予測に基づき、適切な人数の配置を行うことがカギとなります。オペレーターを多く配置し過ぎても人件費のムダ使いとなってしまいますし、オペレーターが不足して「あふれ呼」の状態になっても機会損失となるため、精度の高い呼量予測が求められます。
尚、呼量予測は、「アーランの計算式」(呼量=呼数×平均利用時間÷対象時間)を用いることが一般的です。アーランは呼量の単位、対象時間は呼量を測定する対象時間のことを意味しています。聞き慣れない言葉ですが、コールセンターでは一般的に使用される言葉として覚えておく必要があります。
1-3.業務プロセスの設計とPCDAサイクル
顧客の応対品質は、均一である必要があります。オペレーターごとに案内する内容や対応が異なっていては、企業の信用に関わる問題へと発展してしまいます。そのため、業務プロセスを明確にして、マニュアルに沿ったコールセンター運営・人材育成・各種指標の管理を行うことが大切です。
具体的には、業務プロセスに応じたマニュアル・トークスクリプト・モニタリング・スキルアップ研修などを準備・手配する必要があります。これらはオペレーター向け・SV向けに、それぞれ準備を行わなくてはいけません。システム障害や災害など、緊急時における対応手順なども策定しておく必要があります。
2.ヒューマン・リソース・マネジメントに関する知識

2-1.人材(SV・オペレーター)の採用育成
ヒューマン・リソース・マネジメントは、組織の経営資源のひとつである「ヒト」を最大限に有効活用しながら目標達成を図るマネジメント手法のことです。コールセンターでは、顧客の対応を行うオペレーターと、オペレーターの上司としてサポートを行うSV、両方の人材マネジメントを行う必要があります。
SVとオペレーターが担う一般的な業務は、下表の通りです。管理者はそれぞれに求められる人材像・採用条件に基づき採用面接を行い、採用後はSV・オペレーターともに一定の研修期間を経て独り立ちとなります。
SVの主な業務 | オペレーターの主な業務 |
●オペレーターの採用育成(モニタリング・コーチング・研修講師・モチベーションアップなど) ●オペレーターのシフト作成・勤怠管理 ●顧客からの二次対応(クレーム対応など) ●KPI管理(KPI改善施策の企画管理など) | ●顧客の電話応対 ●顧客のチャット応対 ●データ入力など |
2-2.スキル管理
コールセンターでは、より高度な知識・システム操作が求められる問い合わせについては、特別な電話回線を設けて、それに対応できるオペレーターを配置します。そして、音声ガイダンスによる番号振り分け機能(IVR)を活用することで、問い合わせ内容に応じて、そのスキルを持ったオペレーターに入電する仕組みをとっています。
さらに、商品やサービス内容に変更が発生した場合、一時的なキャンペーン展開などの対応を行う場合、新たなシステムを導入する場合などは、その都度、既存オペレーターへの研修を行う必要があります。このような研修フォローはオペレーターに対してだけでなく、オペレーターをサポートするSVに対しても同様に行う必要があります。
そのため、コールセンターでは日頃からSV・オペレーターへの知識面でのフォローはもちろん、システム面でのスキル設定のメンテナンスを行うなど、こまめなスキル管理が求められるのです。
2-3.評価制度
コールセンターにおける人事評価の基準は、会社組織によって、また、コールセンターの業務内容によっても異なります。
たとえば商品・サービスの加入促進のためのアウトバウンド業務(発信)が主となるコールセンターにおいては、成約に至った件数が重要視される傾向にあります。一方、商品・サービスの問い合わせ窓口としてインバウンド(受信)が主となるコールセンターでは、生産性・応対品質・欠勤率・勤務意欲などが重要視される傾向にあります。
いずれにしても、従業員のモチベーションを落とさないよう、評価基準を予め周知し、可能な限りその成果を給与やキャリアパスへと反映させていくことが大切です。
3.ICTマネジメント

3-1.コールセンターシステム
コールセンターにおけるICTマネジメントとは、情報通信技術(ICT=Information and Communication Technology)を活用して、組織の業務効率や生産性を向上させるマネジメント手法です。
コールセンターの業務は、顧客情報と自社が持つ商品・サービスなどの情報データをもとに通話を行い、そのやりとりをすべてデータ入力し、記録・管理していくことが基本となります。そのため、ICTシステムに関わる知識は必要不可欠であり、管理者であってもシステム選定やシステム改善に大きく関わっていくことが求められるのです。
コールセンターで使用するシステムはさまざまありますが、その中でもコールセンター業務の基盤となるのが「コールセンターシステム」です。コールセンターシステムには、CTI・PBX・CRM・FAQなどの種類があります。
コールセンターシステムの種類 | |
CTI | Computer Telephony Integrationの略称。電話システムとコンピュータデータを連動させる技術のこと。この技術により、IVR(自動音声応答)や、着信時における顧客情報の表示(ポップアップ機能)、通話録音などが可能となる。 |
PBX | Private Branch Exchangeの略称。組織内の内線転送や、外線の振り分け制御を行う「電話交換機」のこと。 |
CRM | Customer Relationship Managementの略称。顧客管理システムと連携し、顧客の問い合わせ履歴を一元管理するシステムのこと。 |
FAQ | 「よくある質問」の検索と蓄積が可能なシステムで、オペレーター業務を効率化する補助ツール。 |
3-2.デジタル活用やDX
コールセンター業界においても、デジタル活用やDXが進んでいます。
たとえば、音声認識システムを用いた自動モニタリング、通話音声をリアルタイムでデータ化する音声マイニング、定型的な入力作業を自動化するRPA、AI(人工知能)を活用したチャットボットやボイスボットなど、コールセンターにおけるデジタル活用は無数にあります。これらのシステムは、いずれもコールセンターの業務効率や生産性向上が期待され、日々進化を続けています。
また、近年はコールセンター業界においても在宅ワークが普及しつつあります。これは、コールセンターの在宅ワーク化が、従業員の働き方改革という面ではもちろん、地震・台風といった自然災害時における事業継続の手段としても重要視されているためです。そのため、現在では、在宅ワークに対応したコールセンターシステムや在宅ワークを支援するクラウドシステムも数多く販売されており、それらを積極的に活用している企業も増えています。
しかし、その一方で、在宅ワークで使用するシステムがオフィス環境と異なる場合や、上司への相談がスムーズに行えない場合もあり、オフィス環境よりもオペレーターのパフォーマンスが下がってしまうといった課題を抱えている組織もあります。コールセンターの生産性を落とさないためにも、ICT環境の整備の重要性はますます高まっているのです。
まとめ
コールセンター運営の管理者は、商品・サービスの知識だけでなく、コールセンターならではの専門知識が求められます。今回紹介したマネジメント知識が、コールセンター導入や委託を検討している方にとってお役に立てば幸いです。
ただし、今回紹介した知識は、コールセンター運営に求められる知識の中でも特に重要なポイントであり、あくまで一部に過ぎません。また、コールセンター運営においては、専門知識だけでなく、知識を活かすための実践的なノウハウや経験なども求められます。
よりスムーズにコールセンターの導入を行いたい!すぐにでも成果を出したい!という方は、コンサルティング機能を兼ね備えた委託会社に相談してみましょう。
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