コールセンターでのカスハラ対策の導入・運営のポイント

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コールセンターは顧客と直接コミュニケーションを取る重要な窓口ですが、近年カスタマーハラスメント(カスハラ)の増加により、従業員の負担が深刻化しています。

そこで本記事では、コールセンター導入や運営の際に検討すべきカスハラ対策の要点と実践方法を解説します。

目次

1.コールセンターを取り巻くカスハラの現状
∟1-1.カスハラの概念と増加背景
∟1-2.カスハラが企業にもたらす影響
∟1-3.法的枠組みと社会的な動き
2.コールセンター カスハラ対策の具体策
∟2-1.社内方針とマニュアル整備
∟2-2.研修プログラムと従業員保護の仕組み
∟2-3.テクノロジーを活用した支援ツール
3.コールセンター導入・運営における成功のカギ
∟3-1.「従業員を守る」経営姿勢の共有
∟3-2.委託先選定時のチェックポイント
∟3-3.カスハラを未然に防ぐ組織体制づくり
まとめ

1.コールセンターを取り巻くカスハラの現状

1-1.カスハラの概念と増加背景

コールセンターにおけるカスタマーハラスメント(以下、カスハラ)とは、顧客が「お客様である」立場を利用し、理不尽な要求や暴言、度を越えた長時間の拘束などの行為を行うことです。

近年では消費者の権利意識の高まりやSNSの普及などの要因により、カスハラの被害件数が増加しているといわれています。

また、多くのコールセンターは24時間対応や土日祝日対応を行うため、スタッフが慢性的な緊張状態に置かれやすい側面を持っています。そのような環境で悪質なクレームや攻撃的な言動を受けると、オペレーターのストレスはさらに高まりやすくなるのです。これにより、メンタルヘルスの悪化や離職など深刻な問題が起きる恐れがあります。

1-2.カスハラが企業にもたらす影響

カスハラによって生じる影響は、オペレーター個人の負担だけにとどまりません。過度なクレームや暴言に対処し続けることで、以下のようなリスクが考えられるのです。

  • 従業員のメンタル不調
      ストレスが原因で体調不良や適応障害を引き起こす可能性が高まります。結果として離職率が上昇し、人材確保や教育コストが増大します。

  • 顧客対応品質の低下
      悪質なクレーム対応に時間や労力を割かれることで、本来注力すべきサービス向上に支障が出てしまいます。顧客満足度の低下にもつながるのです。

  • 企業ブランドイメージの毀損
      悪質な要求に振り回される企業だとの印象を持たれると、従業員や取引先にもマイナスの影響が及びかねません。結果的に企業の信頼度が低下する恐れがあります。

1-3.法的枠組みと社会的な動き

現時点でカスハラ行為を直接的に罰する法律は存在しませんが、企業には従業員を守る「安全配慮義務」があります。もしカスハラを放置して従業員の健康や安全を損なう事態になれば、企業は債務不履行や損害賠償の問題に発展する可能性があるのです。

近年は厚生労働省がカスハラ対策を推奨するマニュアルを公開したり、自治体が迷惑行為防止条例の中でカスハラを取り上げたりする事例が増えています。今後は企業が自主的にカスハラを防止し、従業員を保護する取り組みを強化する流れが一層高まると予測されます。
 (参考:厚生労働省「あかるい職場応援団 カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」)

2.コールセンター カスハラ対策の具体策

2-1.社内方針とマニュアル整備

カスハラ対策としてまず行いたいのが、企業としての基本方針を明文化することです。「カスハラ行為は許容しない」という姿勢を公式文書や社内ルールに定め、従業員が安心して対応できる環境を整備します。

この方針を踏まえ、コールセンター運営マニュアルを改訂または新規作成することが効果的です。以下のような点に留意して策定するとよいでしょう。

  • カスハラの定義や事例
      「どのような行為がカスハラにあたるのか」を具体的に書き出します。例えば人格否定の暴言、長時間の説教、不当な金銭要求などを明示しておくことが大切です。

  • 一次対応からエスカレーションまでの手順
      オペレーターが暴言を受けたとき、最初にとるべき行動や管理者への報告フローを明確にします。

  • 具体的な対応フレーズ例
      カスハラが疑われる際に使う注意喚起の言葉や、理不尽な要求への応答例を載せておくことで、スタッフが迷わず落ち着いて対応できます。

2-2.研修プログラムと従業員保護の仕組み

マニュアルに書かれているだけでは、現場で十分に機能しません。オペレーターやスーパーバイザーが主体的に対策を実践できるよう、研修プログラムの充実が不可欠です。例えば以下のような研修や仕組みが挙げられます。

  • ロールプレイングやケーススタディ
      実際に想定されるカスハラシーンを事例化してロールプレイングを行います。話法や声のトーンなど、具体的な対応技術を磨くためです。

  • メンタルヘルスケア研修
      日頃からストレスを受けやすいコールセンターでは、従業員が心身の変調に早期に気づけるようにサポートすることが重要です。社内相談窓口や産業医との連携体制も整えましょう。

  • 管理職やリーダーへの研修
      オペレーターが困ったときの支援方法やエスカレーションの受け方など、チームや組織を統括する立場の人にも対策ノウハウが必須です。ここで管理職が適切に対処しないと、被害が拡大する恐れがあります。

2-3.テクノロジーを活用した支援ツール

近年はAIや音声解析技術を活用したカスハラ対策の導入が進んでおり、主な事例として次のようなものがあります。

  • 音声感情解析
      顧客の声のトーンや使用ワードをAIがリアルタイム解析し、暴言や威圧的な表現を検知すると管理者にアラートを出すシステムです。オペレーターのストレスを軽減し、早期介入を可能にします。

  • 通話録音と自動テキスト化
      通話内容をすべて録音し、AIによる文字起こしを実施することで、後日発生するトラブルや訴訟に備える客観的なエビデンスが得られます。これらはクレーム対応の品質改善にも役立つものです。

  • IVRやチャットボット
      一次受付を自動応答システムに任せることで、顧客の感情が高ぶりにくくなる効果があります。人間オペレーターが出る前に問い合わせ内容を絞り込むため、業務効率の向上も期待できます。

3.コールセンター導入・運営における成功のカギ

3-1.「従業員を守る」経営姿勢の共有

コールセンターは顧客満足度向上の重要な拠点ですが、まず大切なのは「従業員を守る」という経営姿勢です。カスハラが横行する現場で働く従業員の離職を防ぎ、サービス品質を維持するには、企業として毅然とした対応方針を掲げることが欠かせません。

具体的には、カスハラが生じた場合に備えた対処方法を明示し、「必要に応じて電話を切断する」「サービス契約の停止も検討する」などのステップをルール化しておくと安心です。そうした指針を経営層から明確に打ち出すことで、組織全体が一致団結してカスハラ対策に取り組めます。

3-2.委託先選定時のチェックポイント

コールセンターの運営を外部に委託する場合、委託先がどのようなカスハラ対策を講じているかを必ず確認しましょう。以下のポイントを押さえると、委託後のトラブルを回避しやすくなります。

  1. マニュアルの有無と運用実績
      「カスハラ行為を具体的に示し、対応策を社員に浸透させているか」をチェック。

  2. スタッフ研修と資格
      オペレーターが定期的にカスハラ対応研修を受けているか、スーパーバイザーや管理者が適切な知識を持っているかを確認。

  3. カスハラ検知システムやIT基盤
      音声解析や録音の管理など、テクノロジーを活用した仕組みが整っているかは重要な選定基準です。

  4. エスカレーションルール
      スタッフが困ったときにすぐ上長へ報告できる体制があるか、また弁護士や警察などの外部機関と連携できるかを確認します。

3-3.カスハラを未然に防ぐ組織体制づくり

カスハラは発生してしまうと対応に大きな負担がかかります。できるだけ事前に未然防止を図る仕組みを整え、重大なトラブルに発展しないようにすることが大切です。例えば次のような取り組みが考えられます。

  • 事前告知の徹底
      通話開始時や問い合わせフォームに「録音させていただきます」と明示しておくと、威圧的な対応を抑制できるケースがあります。

  • FAQ整備や自己解決手段の提供
      顧客が簡単に自己解決できるシステムがあれば、不満が高まる前に円滑に解決できる可能性が高まり、効果的です。

  • スタッフの配置最適化
      過度な残業やシフト負担を強いられる環境では、スタッフの心身が疲弊しやすくなります。業務の適正配置によって人員不足を回避し、余裕をもって対応できる体制を作りましょう。

まとめ

コールセンターでのカスハラ対策は、企業の信頼を守ると同時に従業員の安心と働きやすさを確保するための重要課題です。カスハラを放置すれば、スタッフの離職や顧客満足度の低下といった経営リスクが生じかねません。
 そのためには、明確な社内方針とマニュアルの整備、研修やテクノロジーを活用した現場支援、そして従業員保護を最優先に掲げる経営姿勢が欠かせないといえます。コールセンターの導入や運営を検討中の企業様は、ぜひ「コールセンター カスハラ対策」を主軸にした仕組みづくりを進めてみてください。


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