企業と顧客をつなぐ重要な接点であるコールセンター。
商品やサービスに関する問い合わせ、クレーム対応、契約内容の確認や変更など、顧客とのコミュニケーションの最前線を担っています。
その一方で、業務負荷や人材確保の難しさ、コストの増大といった多くの課題を抱えており、「効率化」と「顧客満足度の維持」をどのように両立するかが、長年のテーマとなってきました。
近年では、AIやDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展により、従来では難しかった効率化の施策が現実味を帯びてきています。
本記事では、コールセンターが直面する課題を整理したうえで、効率化の具体的な方法や成功事例を紹介し、今後の業務改善のヒントを探っていきます。
目次
1.コールセンターが抱える主な課題
∟1-1.人材不足と高い離職率
∟1-2.入電数の増加と対応の限界
∟1-3.対応品質のばらつき
∟1-4.マルチチャネル対応の必要性
2.コールセンター効率化がもたらすメリット
3.コールセンター効率化の具体的な方法
∟3-1.IVR(自動音声応答)の導入
∟3-2.FAQ・チャットボットの活用
∟3-3.CRMとの連携
∟3-4.SMSによるアウトバウンド対応
∟3-5.AIによる感情解析・音声認識
∟3-6.WFM(ワークフォースマネジメント)による人員配置の最適化
∟4.成功事例に学ぶ効率化のヒント
まとめ
1.コールセンターが抱える主な課題

まずは、コールセンター業務に共通して見られる課題について確認してみましょう。
1-1. 人材不足と高い離職率
オペレーターの仕事は、常に顧客からの問い合わせに対応する緊張感や精神的ストレスを伴います。クレーム対応や複雑な手続き処理など、負担が大きい業務が多いため、離職率が高いのが現状です。
その結果、新たな人材を採用しても短期間で辞めてしまい、採用コストや教育コストが繰り返し発生します。安定した運営を維持することが難しいのです。
1-2. 入電数の増加と対応の限界
顧客からの電話は時間帯によって集中しやすく、ピーク時には「あふれ呼」(対応できない着信)や「放棄呼」(顧客が待ちきれず電話を切る)が発生します。これらは顧客体験を損ない、満足度低下や不信感につながります。近年は商品やサービスが多様化していることもあり、入電数自体も増加傾向にあります。
1-3. 対応品質のばらつき
経験豊富なオペレーターであれば迅速かつ丁寧に対応できる一方、経験が浅いスタッフは処理に時間がかかることがあります。こうした対応の差は顧客にとって不公平感を与え、企業全体の信頼性を損なう要因となります。
1-4. マルチチャネル対応の必要性
電話だけでなく、メール、チャット、SNS、LINEといった多様なチャネルで顧客が企業にコンタクトする時代になりました。複数チャネルを同時に管理する必要があるため、業務はますます複雑化しています。
2.コールセンター効率化がもたらすメリット

効率化というと単純にコスト削減を連想しがちですが、実際には多面的なメリットが存在します。
- 運営コストの削減
AHT(平均処理時間)の短縮やCPH(1時間あたりの処理件数)の向上により、少人数でも高い対応力を維持できます。 - オペレーターの定着率向上
業務負担を軽減し、働きやすい環境を整えることで、離職率の低下が期待できます。 - 顧客満足度の向上
待ち時間の短縮、マルチチャネル対応の強化などにより、顧客の利便性が増し、企業の評価も向上します。 - サービス品質の均質化
ナレッジベースやFAQを活用することで、経験やスキルの差を吸収し、安定したサービスを提供できます。
3.コールセンター効率化の具体的な方法

ここでは、実際に多くの企業で導入されている代表的な効率化施策を紹介します。
3-1. IVR(自動音声応答)の導入
よくある問い合わせや、担当部署ごとの振り分けを自動化する仕組みです。顧客が迅速に目的の窓口へ到達できるため、オペレーターの負担軽減につながります。
3-2. FAQ・チャットボットの活用
Web上にFAQを整備したり、チャットボットを導入することで、顧客が自力で解決できる仕組みを整えます。結果として入電数を減らし、コールセンターのリソースを複雑な案件に集中させることができます。
3-3. CRMとの連携
顧客情報や過去の対応履歴をシステム上で一元管理し、通話中に即座に参照できるようにすることで、対応の迅速化と一次完結率(FCR)の向上が実現します。
3-4. SMSによるアウトバウンド対応
顧客と連絡が取れない場合でも、SMSを活用することで再架電の手間を減らし、顧客との接点を維持できます。リマインドや確認連絡にも有効です。
3-5. AIによる感情解析・音声認識
通話内容をAIが解析し、顧客の感情をリアルタイムで把握できる仕組みが注目されています。クレーム対応の迅速化や、通話後の要約作成による事務作業の削減に活用できます。
3-6. WFM(ワークフォースマネジメント)による人員配置の最適化
過去の入電データから呼量を予測し、AIが最適なシフトを組むことで、繁忙期でも安定した応答率を維持できます。
4.成功事例に学ぶ効率化のヒント

トヨタカローラ群馬の事例
車検案内の電話がつながらない課題に対し、SMS配信サービスを導入。CRMと連携したメッセージ送信により、再架電時の応答率が向上。オペレーターの負担軽減と顧客接触率の改善に成功しました。
東京ガスの事例
AI搭載ナレッジシステムを導入し、情報検索にかかる時間を短縮。結果としてエスカレーション率を14%削減し、年間で1万時間以上の対応時間削減に成功しました。
楽天損保の事例
災害発生時にAI音声システムを導入。事故内容を自動聞き取りし、必要に応じてオペレーターへ引き継ぐ仕組みにより、大量の入電にも対応可能となりました。
まとめ
コールセンター効率化の核心は「自動化」だけではなく、「人と技術の協働」です。AIやCRMなどの最新ツールは確かに有効ですが、それを使いこなすオペレーターの教育や、働きやすい職場環境の整備がなければ、真の効率化は実現できません。
重要なのは、現場の課題を丁寧に分析し、自社の状況に合った施策を選定・実行することです。効率化は一度きりのプロジェクトではなく、継続的に改善を積み重ねていく“進化のプロセス”であると言えます。
顧客満足度を高めつつ業務の生産性を向上させるために、企業は技術導入と人材育成の両面からアプローチする必要があるのです。
コールセンターについてもっと詳細を知りたい、価格を知りたいなどのご要望ございましたら、「さえテル」詳細資料無料でダウンロードいただけます。料金体系がはっきりしており、資料やHPを見るだけで概算の運営費は把握できます。コアメンバーで電話対応する時間がもったいないと感じたら、ぜひ「さえテル」をお試しください。
