〜委託先選定・切り替え時に企業が必ず押さえるべき視点〜
コールセンターは、企業と顧客をつなぐ最前線であり、ブランド体験の質を左右する重要な接点です。しかしその一方で、ハラスメントリスクが最も顕在化しやすい職場でもあります。近年は「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が社会問題として注目されていますが、実際にはそれ以外にも、社内・委託先内部・関係者間で発生する多様なハラスメントが存在します。
そして、委託先の変更や新規導入を検討する企業にとって、ハラスメント対策の有無は単なる労務管理の問題ではありません。応対品質の安定性、人材定着、ブランド保護、そして委託運営の継続性に直結する、極めて重要な判断軸です。
目次
1.コールセンターにおけるハラスメントの基準とは
∟1-1.「明確な基準」がないことが最大のリスク
∟1-2.コールセンターで対象となる主なハラスメント類型
∟1-3.判断基準は「業務の適正範囲」を超えているか
2.カスハラ以外に多いハラスメントの具体例
∟2-1.パワーハラスメント(管理者・SV由来)
∟2-2.セクシュアルハラスメント(言葉・環境)
∟2-3.モラルハラスメント・間接的ハラスメント
3.委託先選定・導入時に企業が取るべき対処方法
∟3-1.ハラスメント対応方針が「文書化」されているか
∟3-2.相談窓口・通報ルートの実効性
∟3-3.委託元企業としての関与姿勢も重要
まとめ
1.コールセンターにおけるハラスメントの基準とは

1-1.「明確な基準」がないことが最大のリスク
ハラスメント対策で最も危険なのは、「どこからがハラスメントなのか分からない」状態を放置することです。
特に委託型コールセンターでは、
- 委託元企業(クライアント)
- 委託先企業(コールセンター事業者)
- 現場管理者(SV・リーダー)
- オペレーター
といった複数の立場が絡み、責任範囲や判断基準が曖昧になりがちです。
基準が曖昧なまま運用されると、
- 被害が表に出ない
- 離職率が上昇する
- 応対品質が低下する
- 委託元企業のブランドに悪影響が出る
という悪循環が発生します。
特にコールセンターは「お客様は困っていたり、怒っていたりして冷静ではない状態で電話をかけてくる 」ため、冷静な対応と精神的な強さが求められ、精神的負荷が蓄積しやすく、ハラスメントの影響が品質に直結しやすい点が特徴です。
1-2.コールセンターで対象となる主なハラスメント類型
コールセンターでは、以下のような多様なハラスメントが問題になります。
| 類型 | 発生源 | 内容 |
|---|---|---|
| カスタマーハラスメント | 顧客 → オペレーター | 暴言、過度な要求、人格否定 |
| パワーハラスメント | 管理者 → オペレーター | 過度な叱責、圧力、排除 |
| セクシュアルハラスメント | 顧客・同僚 | 容姿への言及、性的発言 |
| モラルハラスメント | 同僚・管理者 | 無視、情報遮断、精神的圧迫 |
| マタハラ・育児・介護ハラ | 管理者 | 不利益な扱い、配慮不足 |
| 委託元企業からの圧力 | 委託元 → 委託先 | 過度なKPI要求、叱責 |
重要なのは「顧客からのハラスメント」だけが問題ではないという点です。 内部関係者からハラスメントは、顧客対応以上に深刻な影響を与えることもあります。
1-3.判断基準は「業務の適正範囲」を超えているか
ハラスメントかどうかの判断は、以下の3つの観点で整理できます。
● 業務上の必要性
業務改善のための指摘や指導は必要な行為です。しかし、必要以上の叱責、大きな声や大きな音を立てる行為はハラスメントに該当します。
● 継続性
一度の注意ではなく、継続的・反復的に行われる指導や指摘を行う場合、ハラスメント性が高まります。
● 人格侵害の有無
「能力」「行動」ではなく、「人格」「存在」を否定する発言は明確にアウトです。
- 適正な指導:業務改善のための具体的な指摘
- ハラスメント:「向いていない」「辞めたら?」などの人格否定
委託先選定時には、これらの基準が文書化され、現場に浸透しているかを必ず確認する必要があります。
2.カスハラ以外に多いハラスメントの具体例

2-1.パワーハラスメント(管理者・SV由来)
コールセンターで最も多いのが、管理者によるパワハラです。
具体例
- ミスを全体朝礼などで名指しで叱責
- 「向いていない」「辞めたほうがいい」と発言
- 過剰なKPIプレッシャーを日常的にかける
- 休憩やシフトの希望を不当に却下する
短期的には数字が改善することもありますが、中長期的には離職率上昇・品質低下・採用コスト増大につながります。
2-2.セクシュアルハラスメント(言葉・環境)
コールセンターは若年層・女性比率が高い職場が多く、セクハラが発生しやすい環境でもあります。
具体例
- 容姿や年齢に関する発言
- プライベートな質問を執拗にする
- 冗談のつもりでの性的な表現
- 顧客からの性的な要求・発言
「軽い冗談」のつもりでも、受け手にとっては深刻なストレスとなり、離職の引き金になることもあります。
2025年10月の東京地裁判決では、職場で女性社員を「〇〇ちゃん」と呼ぶ行為が「許容される限度を超えた違法なハラスメント」として、慰謝料の支払いを命じています。
相手に不快感を与え、業務上の必要性がない場合「ちゃん付け」も法的にセクシャルハラスメント(セクハラ)と認定される可能性が高いです。
2-3.モラルハラスメント・間接的ハラスメント
近年増えているのが、明確な暴言ではない精神的圧迫です。
具体例
- 無視・挨拶を返さない
- 業務情報を共有しない
- 特定の人だけ正当に評価しない
- 常に否定的な態度を取る
これらは数値や録音データに残りにくく、委託元企業が把握しづらい点が大きな課題です。しかし、現場の空気を悪化させ、品質低下を引き起こす重大な要因となります。
3.委託先選定・導入時に企業が取るべき対処方法

3-1.ハラスメント対応方針が「文書化」されているか
委託先選定時に必ず確認したいのが、以下の項目がマニュアルとして整備されているかです。
- ハラスメントの定義
- 判断基準
- 対応フロー
- エスカレーションルール
- 再発防止策のプロセス
「現場判断」「ケースバイケース」だけの運用は、トラブル発生時に委託元企業も責任を問われるリスクがあります。
3-2.相談窓口・通報ルートの実効性
形式だけの相談窓口では意味がありません。 以下のポイントを必ず確認しましょう。
- 匿名相談が可能か
- 管理者を飛ばして相談できるか
- 相談後の不利益がないか
- 外部窓口(第三者機関)があるか
- 相談件数や対応状況を委託元に共有しているか
オペレーターが「声を上げても大丈夫」と思える体制は、安定稼働・品質維持・離職防止に直結します。
3-3.委託元企業としての関与姿勢も重要
ハラスメント対策は「委託したから終わり」ではありません。
委託元企業が積極的に関与することで、委託先の運営品質は大きく向上します。
具体的な関与例
- 定例会でのハラスメント状況の確認
- 離職率・欠勤率のモニタリング
- 応対品質だけでなく職場環境の確認
- 委託先管理者との定期的なコミュニケーション
- KPIだけでなく「働きやすさ指標」も評価に含める
こうした関与がある企業ほど、長期的に成果を出すコールセンター運営ができています。
まとめ
コールセンターにおけるハラスメント対策は、単なるコンプライアンス対応ではありません。
- 応対品質の安定
- 人材定着
- 採用コスト削減
- ブランドイメージ保護
- 委託運営の継続性向上
すべてに直結する、経営上の重要な品質への投資です。
委託先の変更や新規導入を検討する際は、コストや実績だけでなく、「人を守る仕組み」まで含めて比較することが、失敗しないコールセンター構築への近道となるでしょう。
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