通販・EC事業を運営していると、商品やサービスの販売が伸びる一方で、「問い合わせ対応に時間を取られる」「注文受付のためにスタッフを配置しなければならない」「クレーム対応が社員の負担になっている」といった課題が発生します。
特に中小企業や小規模なEC事業者の場合、月間の問い合わせ件数が数百件程度であれば、最初から大規模なコールセンターを構築する必要はありません。
むしろ重要なのは、自社の問い合わせ件数や業務内容に合わせて、必要な範囲だけコールセンター業務を委託することです。
通販 コールセンター委託を検討する場合、単に電話を取ってもらうだけではなく、
- 注文受付
- 商品・サービスに関する問い合わせ
- 配送状況の確認
- 返品・交換に関する問い合わせ
- FAQに基づく回答
- メール・チャットでの問い合わせ対応
- クレームの一次受付
- 必要に応じた社内へのエスカレーション
など、自社が必要とする業務を明確にしたうえで委託先を選ぶ必要があります。
また、通販事業では顧客の氏名、住所、電話番号、購入履歴などの個人情報を取り扱うケースが多いため、料金だけで委託先を決めるのは適切ではありません。
この記事では、通販・EC事業者が小規模なコールセンターを業務委託するメリット、委託先を選ぶポイント、受注代行・ECサポートで確認すべき項目について、具体例を交えながら解説します。
1.通販・EC事業にコールセンター業務委託が向いている理由

通販事業では、商品を販売した後にも多くの顧客対応が発生します。
「注文した商品はいつ届きますか?」
「注文内容を変更したい」
「商品が届いたが、サイズを交換したい」
「定期購入を解約したい」
「届いた商品について確認したい」
など、問い合わせ内容は多岐にわたります。
1-1.通販では「販売後」の顧客対応が多い
ECサイトは24時間注文を受け付けられる一方で、顧客からの問い合わせまで24時間対応できるとは限りません。
特に少人数で通販事業を運営している場合、問い合わせ対応が増えると、本来取り組むべき商品開発やマーケティング、広告運用、発送管理などに手が回らなくなる可能性があります。
例えば、社員5名でEC事業を運営している会社を考えてみましょう。
月間500件の問い合わせがあり、1件あたり平均5分の対応が必要だとすると、
500件 × 5分=2,500分
となり、約41時間以上を問い合わせ対応に費やす計算になります。
実際には、対応履歴の入力、社内確認、折り返し連絡なども発生するため、担当者の負担はさらに大きくなる可能性があります。
このような場合、コールセンター業務を外部へ委託することで、社内スタッフが本来の業務に集中しやすくなります。
1-2.小規模事業者には「必要な分だけ委託」が有効
大規模なコールセンターでは、一定の問い合わせ量や複雑な運用を前提としたサービスもあります。
しかし、小規模な通販会社にとっては、
「問い合わせ件数が少ないのに大規模な契約をする」
「使わない機能まで契約する」
「オペレーターを大量に確保する」
といった運用は、必ずしも合理的とはいえません。
そこで検討したいのが小規模のコールセンター業務委託です。
例えば、
- 月100件程度の電話受付
- FAQを利用した問い合わせ対応
- 注文に関する一次受付
- メール対応
- チャット対応
など、必要な業務だけを切り出して委託します。
通販事業の成長に合わせて、問い合わせ件数が増えた段階で委託範囲を拡大する方法もあります。
1-3.「電話だけ」に限定しないことも重要
現在のECでは、問い合わせ窓口は電話だけとは限りません。
顧客によって、
- 電話
- メール
- チャット
- ECサイトの問い合わせフォーム
など、利用したいチャネルが異なります。
そのため、コールセンター委託先を選ぶ際には、電話対応だけではなく、ECサポート業務全体をどこまで任せられるか確認することが重要です。
2.通販の「受注代行」はどこまで委託できる?具体的な業務内容

「受注代行」と聞くと、電話で注文を受けるだけだと思われがちですが、実際には通販事業者の業務フローに応じて、さまざまな業務を組み合わせることができます。
2-1.代表的な受注代行業務
通販 コールセンター委託で想定される代表的な業務には、次のようなものがあります。
| 業務 | 内容 |
| 注文受付 | 電話による商品の注文受付 |
| 商品問い合わせ | 商品仕様・価格・在庫などの問い合わせ |
| 配送問い合わせ | 発送状況や到着予定日の確認 |
| 注文変更 | 住所変更、数量変更などの受付 |
| キャンセル受付 | キャンセル・解約などの一次受付 |
| 返品・交換受付 | 返品・交換に関する問い合わせ |
| FAQ対応 | あらかじめ登録されたFAQに基づく回答 |
| メール対応 | メールによる問い合わせへの回答 |
| チャット対応 | Web上のチャットによる問い合わせ対応 |
| エスカレーション | 判断できない案件を委託元へ確認 |
ただし、すべての業務を委託できるとは限りません。
例えば「返品を受け付ける」という業務でも、
「商品到着後7日以内なら返品可能」
「開封済み商品は返品不可」
「返品送料は顧客負担」
など、企業ごとにルールが異なります。
そのため、コールセンター業務を委託する際には、FAQや対応マニュアル、エスカレーションルールを事前に整理することが重要です。
2-2.具体例:健康食品ECの場合
例えば、健康食品を販売するEC事業者があるとします。
月間注文数は1,000件、問い合わせは月150件程度です。
社内にはカスタマーサポート専任者がおらず、営業担当者が問い合わせ対応を兼任しているとします。
この場合、
委託する業務
- 商品に関する基本的な問い合わせ
- 注文内容の確認
- 配送状況の確認
- FAQに基づく回答
- メール問い合わせ
- クレームの一次受付
社内で対応する業務
- 返金判断
- 特別な返品対応
- 個別の値引き判断
- 法務判断が必要な案件
というように分ける方法があります。
このように、「何でも外注する」のではなく、外部に任せる業務と自社で判断する業務を分けることが、小規模な通販事業者にとって重要です。
2-3.「受注代行」と「カスタマーサポート」は分けて考える
受注代行では注文を受け付けることが中心になりますが、ECサポート業務では購入前・購入後の問い合わせまで含まれる場合があります。
例えば、
「この商品はどのような人におすすめですか?」
という質問は購入前の問い合わせです。
一方、
「商品が届いたのですが、注文したものと違います」
という質問は購入後の問い合わせです。
つまり、通販事業者が委託したい業務が「電話注文だけ」なのか、「ECサイトの顧客対応全般」なのかを明確にする必要があります。
3.通販向けコールセンター委託先を選ぶ7つのポイント

コールセンター業務委託では、「料金が安い」という理由だけで決めることはおすすめできません。
通販・EC事業者の場合、特に確認しておきたいポイントがあります。
3-1.問い合わせ件数に合った料金体系か
小規模な通販事業者の場合、固定費が大きすぎる契約では費用対効果が合わなくなる可能性があります。
確認したいのは、
- 月額基本料金
- 1件あたりの従量料金
- 超過料金
- 初期費用
- オプション料金
- 土日祝対応料金
- チャット・メール対応料金
などです。
「月額〇万円」と書かれていても、実際にはオプション費用が多数発生する場合があります。
何が基本料金に含まれ、何が追加料金になるのかを確認しましょう。
3-2.呼損率などのKPIを確認できるか
通販コールセンターでは、「電話がつながらない」という状態が続くと顧客満足度の低下につながる可能性があります。
そこで確認したい指標の一つが呼損率です。
呼損率とは、簡単にいうと「電話がかかってきたものの、オペレーターが応答できなかった割合」です。
例えば100件の入電に対して10件を取りこぼした場合、単純計算では呼損率10%となります。
ただし、呼損率だけを見ればよいわけではありません。
- 応答率
- 放棄呼
- 平均応答時間
- 対応件数
- 問い合わせ内容
- クレーム件数
などを組み合わせて確認することが重要です。
委託先から月次報告を受けられる場合は、数字をもとに運営改善を検討できます。
3-3.オペレーター教育の仕組み
通販では商品知識が必要になるため、単純に電話を取れるだけでは十分とはいえません。
例えば化粧品を販売する会社と、通信サービスを販売する会社では、必要な知識が異なります。
そのため、
「どのような研修を行うのか」
「FAQをどのように整備するのか」
「新商品発売時にはどう情報共有するのか」
などを確認しておきましょう。
3-4.クレーム・カスハラへの対応方針
通販では、返品や配送遅延などをきっかけにクレームが発生することがあります。
さらに、単なる苦情と、オペレーターに対する過度な要求や威圧的な言動は分けて考える必要があります。
2026年10月1日からは、カスタマーハラスメント対策が事業主の義務となります。厚生労働省は、方針の明確化・周知、相談体制の整備、発生後の迅速かつ適切な対応などを事業主に求めています。
そのため、コールセンター委託先を選ぶ際には、
- クレームの一次対応範囲
- 二次クレームへの対応
- SVへのエスカレーション
- 対応履歴の保存
- カスハラ発生時の切電基準
- 委託元への報告方法
なども確認しておくと安心です。
3-5.個人情報の取り扱い
通販では、顧客の氏名、住所、電話番号、メールアドレス、購入履歴などを扱うケースがあります。
そのため、委託先の個人情報管理体制は重要なチェックポイントです。
個人情報保護委員会も、個人データの取扱いを委託する場合、委託先における個人データの取扱状況を把握することが必要であり、委託するデータの内容や規模に応じた適切な方法で確認する考え方を示しています。
委託前には、
- 個人情報へのアクセス権限
- 従業員への教育
- 情報の持ち出し対策
- システムの管理
- データの保存期間
- 委託終了時のデータ削除
- 情報漏えい時の報告体制
などを確認しましょう。
「委託したから、情報管理はすべて業者任せ」という考え方は避けるべきです。
3-6.電話以外のチャネルに対応できるか
EC事業では、問い合わせ手段が多様化しています。
そのため、電話だけでなくメールやチャットにも対応できる委託先であれば、顧客接点をまとめて管理しやすくなります。
例えば、
電話:注文・緊急性の高い問い合わせ
メール:画像添付が必要な問い合わせ
チャット:簡単な商品・配送確認
というように、問い合わせ内容によってチャネルを使い分ける方法もあります。
3-7.問い合わせ件数が増えたときに対応できるか
EC事業では、広告やSNS、キャンペーンによって問い合わせが急増することがあります。
例えば通常月100件の問い合わせが、テレビやSNSで商品が紹介されたことで500件に増えるケースです。
このようなときに、
「契約件数を超えたらすぐ対応できなくなる」
のではなく、追加対応やプラン変更などについて相談できるかを確認しておくとよいでしょう。
4.小規模通販事業者に適したコールセンター運営とは

小規模な通販事業者がコールセンターを委託するときに重要なのは、単純な「外注化」ではありません。
自社の業務に合わせて、どこまでを委託するのかを設計することです。
4-1.まず「困っている業務」を洗い出す
最初から「コールセンターを全部外注しよう」と考える必要はありません。
まずは、
- 電話対応に時間がかかっている
- 注文確認の電話が多い
- 配送状況の問い合わせが多い
- クレーム対応が社員の負担になっている
- メール問い合わせを処理しきれない
- ECサイトのFAQが整理されていない
など、現在の課題を書き出します。
そのうえで、外部委託によって解決したい課題を決めます。
4-2.FAQを整備すると小規模でも運営しやすい
小規模なコールセンター業務委託では、FAQが非常に重要です。
例えば、
Q:注文後に住所を変更できますか?
A:発送前であれば変更可能です。変更希望の場合は注文番号を確認してください。
といった形で、よくある質問と回答を整理しておきます。
FAQが整備されていれば、オペレーターによる回答のばらつきを抑えやすくなります。
また、問い合わせ内容を分析してFAQを追加・修正していけば、ECサポート業務そのものを改善できます。
4-3.「任せる業務」と「自社で判断する業務」を決める
例えば次のような運用です。
| 問い合わせ | コールセンター | 自社 |
| 商品の基本情報 | ○ | |
| 配送状況の確認 | ○ | |
| 注文内容の確認 | ○ | |
| FAQに基づく回答 | ○ | |
| 一般的な返品受付 | ○ | |
| 特別な返金判断 | ○ | |
| 法的判断が必要な案件 | ○ | |
| 重大なクレーム | 一次受付 | ○ |
| 商品事故など重要案件 | 一次受付 | ○ |
このようなルールをあらかじめ決めておくことで、オペレーターが判断に迷うケースを減らせます。
4-4.「料金の安さ」より「必要な機能を選べるか」
小規模事業者にとって重要なのは、単純に最安値のコールセンターを探すことではありません。
自社に不要なサービスを契約せず、必要なサービスだけを組み合わせられるかがポイントです。
例えば、平日の電話受付だけで十分な企業が、24時間365日のサポート体制を契約する必要はありません。
逆に、EC事業の特性上、メールやチャットの問い合わせが多いのであれば、それらのチャネルを利用できるサービスを選ぶほうが合理的です。
まとめ|通販のコールセンター委託は「小さく始めて必要に応じて広げる」
通販・EC事業におけるコールセンター業務委託では、必ずしも大規模なコールセンターを契約する必要はありません。
特に中小企業や小規模EC事業者の場合は、
「どの問い合わせが多いのか」
「社内の誰が対応しているのか」
「どこまでを外部に任せたいのか」
「電話・メール・チャットのどれが必要なのか」
を整理したうえで、必要な業務だけを委託する方法が有効です。
委託先を選ぶ際には、料金だけではなく、
- 料金体系が明確か
- 小規模な問い合わせ量に対応できるか
- 受注代行・ECサポートに対応できるか
- FAQを整備できるか
- 呼損率などのKPIを確認できるか
- オペレーター教育が行われているか
- クレーム・カスハラへの対応方針があるか
- 個人情報を適切に管理しているか
- 電話以外のチャネルにも対応できるか
- 問い合わせ増加時に柔軟に対応できるか
といった点を確認しましょう。
また、個人情報を扱う業務を委託する場合は、委託先の安全管理措置や取扱状況を確認することも重要です。
「問い合わせが増えて社員が本来の仕事に集中できない」「専任のカスタマーサポート担当者を採用するほどではない」「受注やECサイトの問い合わせだけでも外部に任せたい」という企業であれば、小規模コールセンターの業務委託を選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。
まずは現在の問い合わせ件数と業務内容を整理し、必要なサービスだけを組み合わせられる委託先を比較することから始めるとよいでしょう。
通販・EC事業の顧客対応を効率化しながら、自社のコア業務に集中したい企業は、さえテルの料金・サービス内容を確認することから始めてみてください。
