近年、顧客との接点の価値がこれまで以上に重視されるようになり、「問い合わせ対応」「クレーム対応」「解約防止」「アップセル」など、コールセンターに求められる役割はどんどん広がっています。 その一方で、
- 「自社でコールセンターを持つべきか」
- 「外部に業務委託した方が良いのか」
という悩みを抱える企業も増えています。
判断を誤ると、
- コストだけが膨らむ
- 品質が安定せず、クレームが増える
- 採用・教育・マネジメントで現場が疲弊する
といった深刻な問題に発展しかねません。
そこで本記事では、
- 自社運営と業務委託それぞれの特徴
- 判断のために見るべき3つの軸
- よくある失敗パターンと、後悔しないための考え方
を整理しながら、「自社にとっての最適解」を見つけやすくなるよう、できるだけ具体的に解説していきます。
目次
1.コールセンター運営の選択肢を正しく理解する
∟1-1.自社でコールセンターを立ち上げるとは?
∟1-2.コールセンター業務委託とは?
∟1-3.どちらが優れている、という話ではない
2.自社運営か業務委託かを決める3つの判断軸
∟2-1.コールセンターの役割・重要度
∟2-2.コストとリソースの現実
∟2-3.スピードと柔軟性
3.よくある失敗と後悔しないための考え方
∟3-1.コストだけで判断して失敗するケース
∟3-2.自社運営を甘く見て疲弊するケース
∟3-3.ハイブリッドという選択肢もある
まとめ
1.コールセンター運営の選択肢を正しく理解する

1-1.自社でコールセンターを立ち上げるとは?
自社運営のコールセンターとは、人材採用・教育・システム構築・運用管理のすべてを自社で行う形態です。 いわば「顧客との対話部門を丸ごと自社の組織として抱える」イメージです。
主な特徴
- オペレーターは自社社員(または直接雇用) アルバイト・契約社員であっても、自社が直接雇用主となるため、評価制度やキャリアパスも自社で設計できます。
- 応対方針やルールを自社で細かく設計可能 スクリプト、話し方のトーン、どこまで権限委譲するかなどを、自社の価値観に沿って決められます。
- ブランド理解・商品知識を深めやすい 社内の他部署との連携が取りやすく、商品企画や営業部門の情報をキャッチして、現場に反映しやすいのが特徴です。
メリット
- ブランド価値を直接コントロールできる 顧客体験の「最後の一言」まで自社で設計できるため、ブランドイメージを守りたい企業には大きな強みになります。
- 顧客の声が社内に蓄積されやすい お客様の不満・要望・アイデアなどが社内にダイレクトに集まり、商品改善やサービス開発に活かしやすい環境をつくれます。
- 中長期的に見ればコストが安定する場合もある ある程度の件数を継続的に処理するビジネスであれば、自社運営の方が「1件あたりコスト」が読めるようになり、長期的な計画を立てやすくなるケースもあります。
デメリット
- 初期投資(設備・システム・採用)が高い 座席・回線・CTIやCRMなどのシステム、採用活動や研修の仕組みづくりなど、立ち上げ時の負担は決して小さくありません。
- 管理者・SVの育成が不可欠 コールセンターは「人」で成り立つ業務です。シフト管理、品質管理、メンバーケアを担うSV層が育たないと、現場がすぐに疲弊してしまいます。
- 繁閑差への対応が難しい シーズンやキャンペーンにより問い合わせが急増する場合、「人員を一時的に増やして、また減らす」という調整が自社単独では難しいことも多いです。
1-2.コールセンター業務委託とは?
業務委託とは、コールセンター専門会社に運営を任せる形態です。 インバウンド(受電)・アウトバウンド(架電)どちらも対応可能な委託先が増えており、チャットやメールなどのマルチチャネル対応を提供する会社も出てきています。
主な特徴
- 即時立ち上げが可能 すでに設備・システム・人材基盤を持っているため、短期間でプロジェクトをスタートできます。
- 専門スキルを持つ人材を活用できる コールセンター運営ノウハウ、スクリプト設計、KPI管理などの知見を持った企業に任せられます。
- 契約内容に応じて柔軟に規模調整が可能 件数の増減に応じて座席数を増やしたり、時間帯を拡張したりしやすいのが特徴です。
メリット
- 初期費用を抑えられる 自社で設備を持たなくてよいため、「まず試してみたい」「短期間だけ必要」といったニーズにも対応できます。
- 採用・教育・労務管理の負担がない 人材確保やシフト調整、勤怠管理などの負担を委託先に任せられるため、社内リソースをコア業務に集中させやすくなります。
- 繁忙期・キャンペーン時にも対応しやすい 短期間での増員、土日・夜間対応の追加など、柔軟な体制づくりがしやすくなります。
デメリット
- 応対品質は委託先に依存する 研修やモニタリングの設計が甘いと、「台本通りの対応はしているが、心がこもっていない」など違和感が生まれることもあります。
- ブランド理解に差が出る場合がある 自社社員ほどブランドに愛着を持っていないケースもあり、その温度差が顧客体験ににじみ出てしまうことも否めません。
- 情報共有や改善スピードに工夫が必要 現場の声をどの頻度・どの粒度で共有してもらうか、改善提案をどう回すか、といった「運営設計」をきちんと行わないと、もどかしさを感じる場面が出てきます。
1-3.どちらが優れている、という話ではない
ここで強調したいのは、 「自社運営=良い」「業務委託=楽」という単純な二元論では決められない、という点です。
- ✔ 企業フェーズ(スタートアップか、成熟企業か)
- ✔ 扱う商材・サービス(単価・専門性・リピート性など)
- ✔ 顧客対応の重要度(LTVやブランドへの影響度)
によって、最適な選択肢は大きく変わります。
たとえば、立ち上げ期のスタートアップであれば、最初は業務委託でスピード重視で走りながら、ビジネスが安定してきた段階で自社運営に切り替える、という戦略も現実的です。 逆に、「カスタマーサクセスが命」のサブスクリプション型サービスであれば、早い段階から自社運営にこだわる方が、長期的なブランド価値につながる場合もあります。
2.自社運営か業務委託かを決める3つの判断軸

2-1.コールセンターの役割・重要度
最初に考えるべきは、 「コールセンターが事業においてどれほど重要な役割を担うのか」という点です。
自社運営が向いているケース
- 顧客対応が差別化要因になっている 「話を聞いてくれたからファンになった」と言ってもらえるようなビジネスでは、対応品質がそのままブランドの競争力になります。
- 高額商材・専門性の高いサービス 金融、医療、BtoBのITサービスなど、専門知識が必要で、信頼が何よりも重要な領域では、自社で深い知識を持ったチームを作った方が安心です。
- クレーム対応がブランドに直結する業種 ライフライン、交通、通信、ECなど、トラブルがSNSで拡散されやすい領域では、「最後の1人の対応」が命取りになることもあります。
業務委託が向いているケース
- 問い合わせ内容が定型化している FAQでかなりカバーできるような内容がメインであれば、委託先でも品質を揃えやすくなります。
- 一次受付や簡易対応が中心 「本人確認と用件のヒアリングだけ」「資料送付の受付だけ」といった一次窓口業務であれば、委託化との相性が良い領域です。
- 営業アポイント獲得など成果重視型 アウトバウンドでの架電やリードナーチャリングなど、一定のスキルと仕組みが求められる領域は、専門会社の得意分野でもあります。
2-1.コストとリソースの現実
「自社運営はコストが高い」「委託は安い」と単純に比較されがちですが、実際には見えないコストも含めて考える必要があります。
自社運営で必要なもの
- 採用コスト 求人広告費、面接・選考の時間、採用担当者の人件費など、目に見えにくいコストが積み重なります。
- 教育・研修時間 研修コンテンツを作る時間、OJTの工数、品質チェックとフィードバックの時間など、「教育する側」のリソースも必要です。
- 管理者の人件費 オペレーターだけでなく、SV・マネージャー層の人件費も含めて全体コストを見なければ、正確な比較はできません。
- システム・設備費 通話録音、CRM、モニタリングツール、ナレッジシステムなど、運用に欠かせないツールのライセンス費用もかかります。
業務委託で考慮すべき点
- 月額固定費 or 従量課金 座席数ベース・通話時間ベースなど、料金体系は会社ごとに異なります。「どのくらいの件数・時間になりそうか」を事前に試算しておくことが重要です。
- 応対品質向上のための追加費用 追加研修、SVの増員、専任チームの設置など、「品質を上げるためのオプション費用」が発生することもあります。
- 委託先との打ち合わせ工数 定例会、レポート確認、マニュアル改定など、委託先を「きちんとマネジメントするための社内工数」も忘れてはいけません。
社内に割ける人材・時間があるかは、非常に大きな判断ポイントです。 「お金さえ出せばなんとかなる」と考えるのではなく、「誰が責任者となり、どれくらい時間を割けるのか」を具体的にイメージすることが重要です。
2-3.スピードと柔軟性
立ち上げスピードや、事業環境の変化にどれだけ柔軟に対応できるかも、大きな検討ポイントです。
- すぐに対応体制が必要 → 業務委託が有利 新サービスのリリースやキャンペーン開始までの時間が短い場合、ゼロから自社で採用・研修を行うのは現実的ではないことも多いです。
- 長期的に内製化したい → 自社運営が有効 コールセンターを「事業の心臓」として育てていきたいのであれば、時間をかけてでも自社運営体制を作る投資は意味があります。
最近では、 「最初は業務委託 → ノウハウ蓄積後に内製化」 という段階的な選択をする企業も増えています。
立ち上げフェーズでは委託先に頼りながら、
- よくある問い合わせ内容
- 顧客の反応やニーズ
- オペレーション上のボトルネック
を見極め、その学びを元に自社運営チームを立ち上げる、というやり方です。
3.よくある失敗と後悔しないための考え方

3-1.コストだけで判断して失敗するケース
「とにかく安いところに任せよう」という理由だけで業務委託を選び、
- 応対品質が低い
- クレームが増える
- ブランドイメージが悪化する
というケースは少なくありません。
一度失った信頼を取り戻すには時間もコストもかかります。 短期的な「見えるコスト」だけでなく、長期的な「見えにくい損失」も含めて判断する視点が欠かせません。
コールセンターはコストセンターではなく、価値創出の場である この視点を持てるかどうかが、大きな分かれ道になります。
3-2.自社運営を甘く見て疲弊するケース
一方で、自社運営を選んだものの、
- 管理者が兼務で回らない 他業務と掛け持ちのマネージャーでは、現場のケアや改善に十分な時間を割けず、徐々にほころびが出てきます。
- 離職率が高くノウハウが蓄積しない 採用してもすぐに辞めてしまい、常に新人ばかりの状態になってしまうと、いつまで経っても品質が安定しません。
- 現場改善が進まない 忙しさを理由に「とりあえず今日を乗り切る」だけになってしまい、根本的な改善が進まず、結果としてスタッフのモチベーションも下がってしまいます。
こうした状況が続くと、「やはり自社運営は無理だった」と感じてしまいがちですが、原因を分解していくと、「自社運営そのものが悪い」というよりも、 組織設計や役割分担、採用・教育の設計が追いついていなかった というケースも多く見られます。
3-3.ハイブリッドという選択肢もある
最近注目されているのが、 自社運営 × 業務委託のハイブリッド型です。
例:
- 一次対応は委託 よくある質問、簡易な手続き、受付業務などは委託先で対応し、件数の波を吸収してもらう。
- 二次対応・クレーム対応は自社 難易度の高い相談、重要顧客、解約抑止など、ブランドに直結する対応は自社でしっかり受け止める。
- 繁忙期のみ委託を増員 通常時は自社運営をベースにしつつ、年末・キャンペーン期など一時的に問い合わせが増えるタイミングだけ委託枠を広げる。
このような形であれば、 品質とコスト、柔軟性のバランスを取りやすくなるため、自社運営か委託かで悩んでいる企業にとって、現実的な選択肢になり得ます。
まとめ
正解は「自社に合っているかどうか」です。
コールセンターを
- 自社で立ち上げるべきか
- 業務委託するべきか
この問いに、唯一の正解はありません。
大切なのは、
- コールセンターの役割(事業にとっての重要度)
- 社内リソース(人・時間・ノウハウ)
- 事業フェーズ(今後の成長シナリオ)
を冷静に整理し、自社にとって最も無理のない形を選ぶことです。
もし現在、
- 応対品質に不安がある
- コストが見合っていない
- 運営負荷が大きい
と感じているなら、一度立ち止まって選択肢を見直すことが、将来の成長につながります。
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