コールセンターとコンタクトセンター、同じ意味で使っている方もいますが、コールセンターは電話での顧客対応に特化した窓口であり、コンタクトセンターは複数のチャネルを使いこなし顧客との接点を広げる総合的な窓口という使い分けがあります。
以前は電話での受付のみでしたので、コールという電話を表す名前でよかったのですが、近年ではメール、チャット、SNSなど様々なお客様からの問合せ方法ができました。これらを踏まえて、お客様とコンタクトを取る窓口という意味でコンタクトセンターと呼ばれるようになりました。
今回のブログではそれぞれの特徴やメリットを解説していきます。
目次
- 1.コールセンターとコンタクトセンターの基本的な違い
- 1-1.コールセンターの特徴
- 1-2.コンタクトセンターの特徴
- 1-3.それぞれが担う役割
- 2.導入前に知っておくべきポイント
- 2-1.運営目的の明確化
- 2-2.必要な設備とシステム
- 2-3.オペレーター教育と品質管理
- 3.コールセンターやコンタクトセンターを委託する際の注意点
- 3-1.委託先の選定基準
- 3-2.契約内容と費用のチェック
- 3-3.委託によるメリットとデメリット
- まとめ
1.コールセンターとコンタクトセンターの基本的な違い

1ー1.コールセンターの特徴
コールセンターは主に電話対応に特化した顧客窓口となります。企業への問い合わせが集中しやすい商品注文やトラブル対応などを、専門のオペレーターが一括して受け付けるのが大きな特徴です。電話を介して直接やり取りするため、顧客とオペレーターがリアルタイムでコミュニケーションを取りやすく、内容を迅速に確認できます。
また、コールセンターではPBX(構内交換機)やIVR(自動音声応答)、ACD(自動着信分配)などの設備が導入されることが一般的です。これらの仕組みを活用することで、問い合わせ内容に応じて担当部署や担当者へスムーズに通話を振り分けることが可能になります。さらに、通話録音やモニタリングによって応対品質を管理しやすい点もメリットです。
ただし、電話以外のチャネルは基本的に対応範囲外となるため、メールやチャット、SNS(ソーシャルメディア)などでの問い合わせが増加している昨今の状況では、コールセンターだけでは十分にカバーしきれないケースがあります。
コストを抑えて確実に音声でのサポートを行いたい場合に適している半面、運用時に人件費がかさんだり、24時間対応が難しくなったりする点には注意が必要です。
1-2.コンタクトセンターの特徴
コンタクトセンターは電話対応にとどまらず、メールやWEBチャット、SNS、FAX、さらにはチャットボットなど、あらゆるチャネルで顧客とのコミュニケーションを行う総合的な窓口です。
顧客は自分の状況や好みに合わせて連絡手段を選べるため、利便性が大きく向上します。企業側にとっても、複数のチャネルを一元管理することで幅広い潜在顧客への接点を確保でき、顧客満足度やロイヤルティの向上が期待できるでしょう。
コンタクトセンターでは、オムニチャネル対応の基幹システムやCRM(顧客管理)ツールを活用することで、電話やメール、チャットなど異なる窓口からの問い合わせを一括してデータベースに蓄積し、各顧客の対応履歴を横断的に参照できるようにします。これにより、問い合わせの引き継ぎや二重回答の防止がスムーズになり、オペレーターの生産性を高められます。
また、チャットボットやAIを導入すれば、深夜や休日でも自動応答が可能となるため、顧客が24時間サポートを受けられる環境を構築できるでしょう。
一方で、コンタクトセンターを運営するには多彩なチャネルを扱えるシステム導入や運用スキルが必要となります。初期投資や保守コストはコールセンターよりも高くなる傾向がありますが、顧客接点を拡大したい企業や、複数の問い合わせ経路を統合して効率化を目指す企業には大きなメリットがあるでしょう。
1-3.それぞれが担う役割
コールセンターは主に電話応対による課題解決や問い合わせ対応が中心であり、短期間で確実に顧客の要望に応える役割を担います。トラブルシューティングや商品注文の受付など、音声コミュニケーションが重要なシーンに強みを発揮するでしょう。
コンタクトセンターは顧客とのやり取りをあらゆるチャネルで網羅し、総合的な顧客体験価値(CX)向上を目指します。顧客ごとに最適な手段を提供することで企業への信頼感を高め、さらには購買拡大やリピーター育成にもつなげます。そのため、企業の成長戦略に合わせてコールセンターをコンタクトセンターへと拡大・移行する事例も増えています。
2.導入前に知っておくべきポイント

2-1.運営目的の明確化
コールセンターやコンタクトセンターを導入する際に、最も重要となるのが運営目的の明確化です。単純な問い合わせ対応にとどまらず、顧客満足度を高めたり、商品やサービスの情報を有効に発信したりしたいのか、あるいはクレーム処理や返品受付をスムーズに行う仕組みを整えたいのかによって、設計や運営体制は大きく変わります。
例えば、電話問い合わせが大半を占めるのであれば、コールセンター中心の体制でも十分に対応可能でしょう。一方で、顧客が若年層やテクノロジーに精通している層であれば、チャットやSNSでのやり取りを重視するコンタクトセンターの導入がより有効となります。まずは自社がどのような顧客層をターゲットにしているのか、そして企業としてどんな顧客体験を提供したいのかを整理することが大切です。
2-2.必要な設備とシステム
コールセンターを運営する場合には、通話を制御するためのPBXやIVR、ACDなどが必要になります。これらの設備を社内に置くオンプレミス型もあれば、クラウドサービスとして提供されるものもあるため、導入コストや運用コストを比較検討しながら選ぶとよいでしょう。
一方で、コンタクトセンターは電話以外のチャネルを扱うため、チャットシステムやメール管理ツール、SNS連携のプラットフォームなど、多方面に対応できる統合システムが求められます。CRMと連動させて応対履歴を集約することで、顧客の過去のやり取りや購買履歴を参照しながら対応が行いやすくなるのです。自社の予算や運営規模に合わせて、段階的にチャネルを拡充していくアプローチも有効となります。
2-3.オペレーター教育と品質管理
コールセンター運営においては、電話応対のスキルを身に付けたオペレーターの育成が欠かせません。特に商品やサービスに関する知識、敬語やクレーム対応に関するトレーニングは重要です。コールセンターの場合、顧客と直接声でやり取りするため、一度の対応が企業イメージに直結しやすい点には気を付ける必要があります。
コンタクトセンターでは、チャットやメール対応の文面作成スキルも問われます。
短く分かりやすい文章を作る力や、お客様の立場を考えた表現力、そしてトラブルが起きた際の臨機応変な対応が求められます。オペレーター全員が同じ品質と方針で対応できるよう、マニュアル整備や研修体制を整え、定期的なフィードバックやロールプレイングなどで品質管理を行うことが重要です。
3.コールセンターやコンタクトセンターを委託する際の注意点

3-1.委託先の選定基準
コールセンターやコンタクトセンターの委託を検討している企業様は、まず委託先の実績や得意分野を確認するとよいでしょう。受電業務に長けている企業もあれば、アウトバウンド(営業電話)に強みを持つ企業、あるいはチャットやSNSなど最新のメディア対応に特化した企業も存在します。自社の目標とするサポート内容や体制に合った委託先を見極めることが大切です。
また、オペレーター教育や品質管理のノウハウをどの程度持っているか、過去に同業界での実績があるかどうかも判断基準になります。問い合わせ数の波が激しい時期に臨機応変な増員を行えるか、スムーズなトラブル対応が可能かも見逃せません。さらに、顧客情報の漏えいを防ぐためのセキュリティ体制が整備されているかも重要なチェックポイントです。
3-2.契約内容と費用のチェック
委託契約の際には、料金体系をはじめとして対応範囲、運営時間、導入時のサポート内容などを細かく確認する必要があります。
コールセンター委託の場合、月額の基本料金に加えて通話時間に応じた課金や、オペレーターの人数分の費用がかかるケースもあります。コンタクトセンターの委託では、さらにメールやチャットなど複数チャネルの管理に対するコストが上乗せになるかもしれません。
費用だけでなく、契約期間の長さや途中解約の条件、システム障害時の対応フローもチェックすることをおすすめします。想定外の事態が発生した場合でも、契約内容に基づいて迅速にリカバリーできる体制を築いておくことが重要です。
3-3.委託によるメリットとデメリット
コールセンターやコンタクトセンターを自社で運営する場合、オペレーターの採用やトレーニング、システムの導入・運用など多くの負担が伴います。委託することで、これらの負担を軽減できる点は大きなメリットです。専門企業が培ってきたノウハウや研修プログラムを活用し、短期間でサポート体制を整えられる可能性があります。
しかし、外部に顧客対応を任せるため、サービス品質のコントロールが難しくなったり、自社の企業文化や理念を浸透させにくくなったりするデメリットも考えられます。委託先のオペレーターが自社の製品やサービスを十分に理解していないと、顧客満足度の低下を招くおそれがあるのです。
定期的に連携を取り、必要に応じて研修や情報共有を行うことで、委託のデメリットを最小限に抑えられるでしょう。
まとめ
コールセンターとコンタクトセンターの違いは、電話応対に特化しているか、それとも複数チャネルによる総合的な顧客接点を有しているかにあります。
コールセンターは音声によるリアルタイムコミュニケーションに強く、コストを抑えた運用がしやすい反面、チャネルが限定されがちです。対してコンタクトセンターは、多様な問い合わせ手段に対応可能な分だけ費用も手間もかかるものの、顧客満足度や企業ブランディングに貢献しやすいという利点が期待できます。
また、導入前には明確な目的設定と、それに合わせた設備・システム・スタッフ教育が重要です。
さらに、委託先を選ぶ際は、費用やセキュリティ、実績、専門知識などを総合的に検討する必要があります。自社の顧客層やサービス内容に照らし合わせながら、コールセンターとコンタクトセンターのどちらが最適かを見極め、必要に応じて段階的な拡張も視野に入れるとよいでしょう。最終的には企業と顧客の双方にメリットがある運営体制を構築し、満足度の高いサポートを実現していただければ幸いです。
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